消防士の年収について、正直に全部話します。
15年以上消防士として働いてきた私が、給与明細を見ながら「これでいいのか」と悩んだこと、家族に申し訳ないと思ったこと——そういうリアルな話を包み隠さず書きます。
「消防士って稼げるの?」「公務員だから安定してるんでしょ?」
この記事を読めば、その疑問に全て答えられます。
消防士の平均年収:まず数字から
総務省の調査によると、地方公務員(消防職)の平均年収は約680〜720万円(全国平均)とされています。
ただし、この数字は在職者全体の平均です。ベテランの管理職も含むため、実態とかけ離れた印象を与えやすい数字でもあります。
私の経験をもとに、より実態に近い数字を年代別に整理します。
年齢・経験年数別の年収目安
| 経験年数 | 月給(手取り目安) | 年収(手取り目安) |
|---|---|---|
| 1〜3年目 | 13〜17万円 | 220〜280万円 |
| 5〜7年目 | 20〜24万円 | 330〜380万円 |
| 10〜15年目 | 26〜32万円 | 430〜510万円 |
| 20年以上(係長・主任) | 32〜40万円 | 520〜640万円 |
| 管理職(課長・署長クラス) | 40万円〜 | 700万円〜 |
※ 担当業務(警防/日勤)・手当の種類・自治体によって差が大きい。上記は消防士としての経験をもとにした目安です。
私が実際にもらっていた給料
入職1年目の月給(手取り)は約13万円台でした。
給与ベースは16万5千円ほどでしたが、健康保険・共済年金・所得税が引かれると手元に残るのはその程度。実家暮らしでなければ生活が苦しいレベルです。
「消防士になれて嬉しいけど、この給料で一人暮らしは無理だな」
それが正直な感想でした。
給与が上がるのは本当にゆっくり——しかも「下がる」こともある
消防士の給与は年功序列です。頑張っても、手を抜いても、同期なら同じ給与。
毎年の昇給幅は数千円〜1万円程度。物価の上昇スピードには到底追いつきません。
さらに衝撃的だったのは、公務員でありながら基本給が「下がる」ことがあったということです。財政難の自治体では給与削減条例を施行して、職員の給与を一律カットすることがあります。これは基本給に直接影響するため、ボーナスにも直撃します。「公務員は給与が下がらない」は、必ずしも正しくありません。
10年経ってようやく手取り26〜28万円になりましたが、その頃には結婚して子どもが生まれ、家賃・食費・教育費…気づけば毎月カツカツでした。
警防担当と日勤担当で手取りが大きく変わる
「消防士の給与」を語るうえで、担当業務による差は見落とせません。
消防署の業務には大きく2種類あります。
- 警防担当(24時間勤務):消火・救急・救助の現場対応。交替制で24時間勤務+非番のサイクル
- 予防担当・総務担当(日勤):建物の立入検査や書類業務など、平日の昼間のみ勤務
給与ベースは同じでも、警防担当のほうが手当がつきやすく、手取りは多くなる傾向があります。
特に救急隊員は深夜の出場が多く、夜間特殊業務手当が積み上がります。私が救急担当だった時期は、確かに手取りが増えました。
ただ——慢性的な睡眠不足で、その分寿命が削られている感覚もありました。お金と体力は、トレードオフです。
ボーナス・手当について
消防士のボーナス(期末手当・勤勉手当)は年2回で、年間約4.5ヶ月分が目安です。
月給20万円の場合、ボーナスは年間90万円程度。これを含めると年収330万円前後。
消防士特有の手当には以下があります:
- 夜間特殊業務手当:深夜の救急・火災出動時に支給。1件あたり数百円〜数千円(出場数が多いほど増える)
- 危険手当:火災・救助活動時の特別手当
- 管理職手当:主任・係長以上で支給
- 住居手当・扶養手当:一般の公務員と同様に支給
なお、これらの手当の種類・金額は市町村によって若干異なります。同じ「消防士」でも採用された自治体によって手当の体系が違うため、給与水準の差が生まれる一因にもなっています。
また手当は「多くもらえる月」と「ほとんどない月」が極端に分かれます。大きな火災や多発救急が続けば増えますが、安定した追加収入にはなりません。
地域による年収差
消防士の給与は採用された自治体によって大きく異なります。
政令指定都市・大都市
東京消防庁・大阪市・名古屋市など大都市の消防士は、地域手当(都市手当)が加算されます。
東京消防庁の場合、地域手当が基本給の20%加算されます。これだけで年収に大きな差が生まれます。
目安として、大都市の消防士の生涯年収は地方の1.2〜1.5倍になることもあります。
地方・小規模自治体
人口の少ない市町村消防や、消防組合に属する消防署では、給与水準が相対的に低くなります。
同じ「消防士」でも、採用先によって生涯で数千万円の差が生まれることがあります。
「消防士は年収が高い」は本当か?
ネットで「消防士 年収」と検索すると「平均700万円以上」という数字が出てきます。
でもこれは、管理職も含めた在職者全体の平均。20〜30代の若手消防士には全く実感のない数字です。
30代で子どもが小学生になった頃、私は「手取り28万円」でした。
- 家賃:8万円
- 食費・日用品:8万円
- 子供の習い事・教育費:3万円
- 光熱費・通信費:3万円
- 残り:6万円(貯金・車・レジャー・予備費)
余裕はありません。妻にも「もう少し収入を増やせないか」と言われることがありました。
「消防士は安定している」というのは、クビにならないという意味では正しい。でも「豊かに生活できる」という意味では、必ずしも正しくない。
これが私の実感です。
退職金はどうなのか
「消防士は退職金が多いから割がいい」という声もよく聞きます。
確かに20〜30年勤めた場合、退職金は2,000〜2,500万円程度が目安です(自治体・経験年数により異なる)。私自身の退職金の実額については、こちらの記事で詳しく書いています。
→ 消防士の退職金はいくら?18年勤務のリアルな金額を元消防士が大公開
しかし注意点があります。
公務員の退職金は年々減少しています。 2012年に大幅削減され、今後もさらに見直しが進む可能性があります。「退職金があるから20年我慢する」という計算は崩れてきています。
また退職金を目的に我慢し続けた場合、その20年間の機会損失(スキル・キャリア・収入アップの可能性)のほうが大きくなることもあります。
転職後の年収はどうなった?
私は15年以上勤めた消防を辞め、民間企業に転職しました。
転職直後は年収が若干下がりました。
ただ、1年後には前職とほぼ同水準に。2年後には超えました。
何より変わったのは昇給の可能性です。消防では「頑張っても上がらない、サボっても下がらない」給与体系でした。でも今は、成果を出せば評価される。それが自分の行動を変えました。
また副業が解禁されたことで、ブログや情報発信という新しい収入の柱を育てることもできています。
まとめ:消防士の年収、正直なところ
消防士の年収について、数字と実体験をもとにまとめます。
- 若手(1〜3年目)の手取りは月13〜17万円程度。実家暮らしでないと生活が苦しい
- 警防担当(24時間勤務)は夜間手当がつきやすく、日勤担当より手取りが多い傾向
- 10〜15年目で手取り26〜32万円になるが、家族がいると余裕は少ない
- 基本給が下がることもある——財政難の自治体は給与カットがある。ボーナスにも直撃する
- 大都市と地方で年収差は大きく、市町村によって手当体系も異なる
- 退職金は減少傾向、将来の保証として過信しないほうがいい
「消防士の年収に不満がある」「生活が苦しい」と感じているなら、その感覚は正しい。
転職という選択肢は、消防士でも十分あります。 消防士として培ったコミュニケーション力・体力・危機管理能力は、民間でも十分評価される武器です。
まず転職エージェントに相談して、今の自分の市場価値を知ることから始めてみましょう。動き始めると、見える世界が変わります。
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